今まで書いてきたことと少し重複しますが、塾には大きく分けて個別指導と集団指導とがあります。同じ塾でもこの2つのパターンがあるのは、その塾の置かれているスタンスというか方針が色濃く反映されているものです。
そのメリットとデメリットに焦点を当ててお話ししてみます。
先ず個別指導ですが、こうかくとまるで家庭教師のように、ひとつの机に一人の教師という感じがしますが、教室には10数人程度かそれ以内の少人数に対し、講師が一人つきます。指導は授業と変らないのですが、一人一人パーティションで机が仕切られていたり、生徒同士の接触をなるべく断つような工夫がされています。メリットとしては費用が他の塾よりも幾分高いため、講師を生徒側の方で指名できたり、希望の先生を選べることができるという点でしょう。これは塾によって様々ですが、おおむね集団よりはサービスは厚いということができます。学力の差があったとしても、授業中生徒同士が目を合わせることがないので、質問やわからないことがあっても質問する際、あまり気にならないことも学習する上でプラスにはなります。黒板を使った一斉授業形態の塾では無いことが多く、塾長である講師が個別指導のプロの一職人として、生徒の学習指導およびその成果に対し、全責任を負うといったイメージですね。
少人数ですので、学習レベルや指導方針が立てやすく、そもそもが面接や選抜試験などで、決められたコースを選択するので、教室内で学力の差が生まれにくいのです。
個人経営の塾も多く、近所でも探せば1~3件ほど見つかることも多いですね。学校の授業の内容を深く掘り下げての理解となるので、予習、復習が苦手な生徒でも有る程度の効果が期待できますし、自宅から近いこともあり、通塾に苦労を強いられることもないでしょう。
しかし現状としてはどうでしょうか?
いまも増えて続けている個別指導の塾ですが、それに伴って、ますます教室責任者や講師を急募する必要性にせまられ個別指導塾は教師の数では一番手薄なところともいえます。必然的に、ほとんど学習指導の経験も実績もない方が、教室管理、生徒管理、講師管理、受験知識そして営業方法を短時間で叩き込まれその塾の名の元に室長として生徒や保護者の方とお話しをしている場合があります。
もともと昔から、塾に向いている人はそんなに多くはいません。教師から塾に移る人だけではとても対応できるわけではないからです。従い本来教員免許がなくても塾で指導することも十分あり得ることなのです。
また、一般に塾の就業内容および拘束時間は過酷なので、長続きする職員もやはりそんなに多くはいません。教室責任者の入れ替えは頻繁に起こって、採用されてわずか1週間後、まったくわけも分からない状態で教室責任者にされてしまうこともあるようです。
このように昔からの塾の人材不足は、たえず塾業界全体を取り巻く大きな問題となっていますし、さらに、東京では、東京の大手個別指導塾だけではなく、名古屋、大阪からもどんどん会社組織の大きな個別指導塾が進出して、各地で生徒のみならず職員・講師の奪い合いをしているのが現状。
とにかく塾というところはベテランの職員いわゆるプロが育ちにくい環境であることは間違いないので、「学習指導のプロ」と呼ばれる方は首都圏全体でもほんの一握りしかいないのが、残念ながら個別指導塾業界の実情といわざるを得ません。
そのため教師の質で、大きく学力に差が出てしまうといったことは、充分考えられます。教師としての自覚、経験はなかなか数回に面接や、体験授業では把握しづらいのにもかからわず、授業料は高い・・。
考えられる教師の質は個別指導の方が、遙かに高い能力を必要とするものだといえます。
個別指導に置いて教師に求められる能力を上げると
・経験と長年の指導に裏打ちされた指導技術
・生徒一人ひとりに対し最適な指導計画を立案できる知識と判断力
・生徒達の前向きな心を引き出し、指導計画を実行させるだけの熱意、指導力
・思春期の中で揺れ動く子供達一人ひとりの心の微妙な変化や、学習指導上の不具合をいち早く鋭敏に察知する感受性
・適宜学習計画を状況に合わせ微調整する判断力と柔軟性
・日々の学習指導の中で否応なく出くわす様々な問題をよりよい形で処理する問題解決能力
と一経営者として能力が必要とされる現場です。個別指導という状況は、マニュアルが揃って、それにあわせて指導というカタチでは、なかなか出来ないということです。
また、こういう個別塾でも積極的に質問する子が先生を独占してしまうので、自分から質問できない子は1対1で教えてもらえる時間が意外と少なかったなんてこともあり得ます。自主学習と変らなくなってしまう恐れもある。
ネックとなうのが教師の質にかかっているということ。また、塾に行く時にあらかじめ問題を解かずに授業を受けにいっている生徒の場合、結局塾で質問する時間よりも、問題を解いている時間の方が圧倒的に長いので、これもまた自主学習をしにいっているようなものになります。
多くの個別指導塾を抱えるところでは、派遣制で大学生などを講師にしているところもあるので、注意が必要。また学校の情報でしか学力を推し量ることしかできないので、効果の具体性においてはちょっと弱い側面もあります。
ではその反対の集団指導塾ではどうでしょうか。
環境は10~20人あるいはそれ以上で、授業、講義が行われるため公開授業で見学できたり、体験入塾や講習会などその塾を知るための情報は集まりやすいでしょう。学校とにたカリキュラムで時間割などもあり、生徒の方でも大勢の中で学習するので緊張感が薄れ、わからないことも他の生徒の質問などを参考にしたり、費用も比較的にはま手頃というか、塾としては平均的で、進学塾、学習塾、予備校なども多くが採用する学習指導方式です。
集団学習なので、レベルに応じたコース選択や、復習などを中心としたコース、自習室などの環境、設備の点では一番整っています。20人以内の小規模での集団指導教室も多くあるので選択肢は広いといえます。また、選抜試験や模試など定期試験で実力を推し量り順位で今どのくらいのレベルにいるのか、学力を具体的に把握できるでしょう。
デメリットとしては、先ずカリキュラムに必要な専門のテキストの購入費や、年間にかかる費用は結構覚悟が必要です。大手の学習塾の場合、入塾のためのテストがある場合もあり、そのテストの受験に3千円程の費用がかかる場合もあります。また冬季講習や、夏季講習、合宿など通常の授業とは別な費用も発生します。
この講習も任意ではありますが、授業が再開すると、この講習の結果を前提に学習指導するということもありますので、半ば講習は受けることが当たり前のような状況も生まれています。
また大手の学習指導方法では、 塾ごとに違うので、退塾して他に移籍する際は再び1から教材の購入や入塾費用がかかってしまいます。教師は生徒や親御さんからは選択する余地はないことが多く、一度入塾すると受験対策時に予備校に通ったりしなければならないとき、容易にやめることが出来なくなる場合や、更に費用がかさむことがあるでしょう。また、大人数を受けいるているようなところでは、教室やクラス、コース別の成績向上が重視されるため、個人の学力に対して十分対応できるかどうかは確かではありません。
そこで、選抜試験を実施したりして学力でふるいわけをする場合が多く、不得意科目を重点的に学習するには結局自習にたよらなくてはいけないところもあります。この結果、必然的に生徒は競争の中にあることを自覚することになり、いい意味でやる気を出してくれればいいのですが、下手をすれば「落ちこぼれである証拠」を突きつけられているような気持ちになって、学習意欲に支障をきたす可能性も否定できません。
また大勢の生徒がいるという事は、同じ学校からも生徒が集まっていることになり、学校での生徒間の問題が、そのまま塾でも問題になることもあり得ます。また教師に関してはカリキュラムや、指導方針によって行われますので、個人個人の学力の差は、宣伝にあるようにはあまり考慮されません。体験学習や見学会も、それに合わせた教師が担当し、実際の受業では別の専任講師ということも多いです。学校の延長としての存在としてなりがちで、予備校のような特殊な環境は除きますが、学校での状況がそのまま引き継がれてしまう状況が生まれやすいといえます。
教師との相性に関して、考慮することは難しいので、どうしても人気の講師がいる教室や塾に生徒が集中しやすいということが多いですね。そう考えると、選択肢が広いようでも、その地域で選べるところは必然的に決まってきてしまいます。またそういった塾は大きなターミナル駅や、自宅から離れたところにあり、通塾には時間がかかることも多いですね。